
本記事では「ファイアーエムブレムエンゲージ」の有料ダウンロードコンテンツ「邪竜の章」を含むクリア後のネタバレ要素を全面的に取り扱います。
本作をプレイしている最中、またはプレイする予定である方々は本記事に目を通されるより先にゲームクリアを済まされることを推奨します。

はじめに、ファイアーエムブレムエンゲージに登場するフィレネ王国の第一王女「セリーヌ」といえば。
作中の登場人物からも「かわいい」と言われる通りの可憐な風貌に、大好きな花々と紅茶になぞらえた華やかな言い回しを好むお淑やかな趣味嗜好。

それでいて我が国を守ることを第一とする毅然とした心の持ち主。外敵と見なした者には自ら手を汚し、平和主義者としての心も傷付けながら非情な決断も下すことができる、剛毅果断な第一王女。
臣下のクロエの言葉を借りるならば、まさしく「御伽噺から出てきたお姫様」という表現が似合う、総じて高貴なキャラクター性を持った登場人物です。
そんなセリーヌ王女のキャラクター性を注視してきたファンには勿論、逆にさほど気に留めることなくゲームを進めていたプレイヤーにとっても、本作を遊んだことがあるプレイヤーであればほぼ例外なく忘れられぬ存在がいました。
それがこちらの、

「邪竜の章」において異なるフィレネ王国の王妹として登場する「邪竜の章のセリーヌ王女」、通称「邪セリーヌ」。
本記事が解説、および考察の対象とするキャラクターです。

「邪セリーヌ」の始まりは、時を遡ること2023年2月9日。本作の有料DLC「エキスパンション・パス」の第2弾が解禁された頃。
そこで追加の参戦となった紋章士ヘクトルから、セリーヌ王女に関する新要素を仄めかすような絆会話が先んじて公開されました。

紋章士ヘクトルは元のフィレネ王国とは異なるフィレネ王国からやってきた紋章士であり、そこに存在する「異なる性格をしたセリーヌ王女」を知っているということ。彼から言わせれば、「こちらの世界にいるセリーヌ王女」は随分穏やかだと言います。

それから更に約1ヶ月半後となる2023年3月22日。「エキスパンション・パス」の最終弾でありいよいよ解禁間近となる追加ストーリー「邪竜の章」の予告動画が公開されました。そこで初お披露目となったのが、

”隣国が不幸になろうとも知らない”
という不穏な口ぶりと共に画面いっぱいに映し出された、見覚えのあるはずのキャラクターがこれまでとは正反対の雰囲気を醸し出している衝撃的な絵面。
このセリーヌ王女は確かに随分穏やかではありません。

”我が兄ながら情けないですね”
それから間を置かずに顔を覗かせる、これまた従来とは真逆の印象をプレイヤーに叩きつけた「邪スタルーク」。
PV冒頭に現れたこの2人のみで「邪竜の章」の世界観が何たるかを察した界隈中は瞬く間にこのPVへの反応や感想で持ちきり状態となりました。

その第一印象は、当時のセリーヌ王女によく抱かれていた、良く言えば無難な正統派、悪く言えば地味で目立たないキャラという従来のイメージを覆すには十分過ぎるもので、実際にこのPVは以降のセリーヌ王女の知名度と存在感に大きな影響を及ぼしました。
セリーヌ王女を好きになったプレイヤーの中には「邪セリーヌをきっかけに興味が湧いた」「邪セリーヌを通じてより魅力を深められた」と考える人も多く存在していることでしょう。

しかし、この全く正反対の印象に魔改造されたように見える彼らを通して、元の味方キャラクターたちの理解が深まる、好きになるとは一体どういうことなのでしょうか?
そもそも、「邪セリーヌ」とは何者だったのか?その一部始終はどんなものだったのか?そして邪セリーヌという存在を踏まえることが、セリーヌというキャラクター全体にどのような影響をもたらすのか?

本記事はそんな邪セリーヌというキャラクターに焦点を当てて邪竜の章を振り返り、この人物に関するよく取り沙汰される表面的な要素から本人の根幹に関わる深部の描写までを改めて展覧、そして筆者なりの考察を交えていく内容となります。
貴重な時間を頂戴致しますが、最後までお付き合いくださると幸せです。













